2013年7月9日

ファインダーの覗き方

イベントも無事に終わった。清泉女子大学文学部地球市民学科の在学生・卒業生の有志たちによる手作りイベント「プロジェクト2013:フォトコンテストを通してつながる地球市民」のことである。

最終日に行われたのは、「Tokyoフォトコンテスト」。在学生と卒業生がグループを組み、2日目にTokyoを舞台にFWを行った成果発表会だ。提出物は、プレゼンのテーマと3枚の写真のみ。同じレギュレーションでの勝負(写真の数を減らしても増やしてもいけない)となる。

審査員が豪華だ。今回は、5名の審査員をお迎えした。

・実吉典子先生(清泉女子大学名誉教授)
・山中仁美先生(国際政治学者・名古屋商科大学)
・ナジーブ・エルカシュさん(ジャーナリスト・リサーラメディアプロダクション プロデューサー)
・岡本岳大さん(広告プランナー・クリエーター・博報堂)
・井上優子さん(カメラマン)

コンテストそのものも、1年生・2年生主体のグループ発表としては、かなり凝ったものが多く、とても楽しめるものだった。みんなのガンバリが伝わってくるプレゼンテーションだったので、教員としてもとてもうれしい。

これから、本格的なFW手法を勉強し、批判的精神も養い、「自ら問いをたてられる」そんな知的で・ステキな女性へと成長していってもらいたい。それが、大学で教育を受けたことの意味だから。

学生たちの発表にも感動したが、やはり審査員の先生方のコメントには、私も大いにうなずき、しかも感動した。

たとえば、山中先生。総括コメントで、自分が研究者として常に心がけていることを話してくださった。それは、「小さな窓から、なるべく大きな社会の景色をみる」というもの。

得てして、気合いが入ってしまい、自分が扱えないくらい社会の大きな問題を大きなまま捉えてしまいがちなのだが、実際に自分が扱える範囲は、カメラのファインダーのような小さな窓。でも、そこは小さくても、なるべく大きな社会をその先に収めようという努力の積み重ねだと。

「みんなが、昨日のFWで今日の発表で試みたのは、まさに、カメラのファインダーを通して、Tokyoの隠された(社会性のある)テーマという大きな景色を収めることでしたね」という言葉には、多くの卒業生・在学生が心を動かされたようだ。

私のもとにも、「山中先生のあの言葉に感動しました」と報告に来てくれた在学生や卒業生がいた。

みんな、素晴らしいコメントをくれたのだが、もう1人だけご紹介。カメラマンの井上優子さんのコメントだ。このコメントは、卒業生からの質問に井上さんが答えたもの。

質問は、「プロのカメラマンとして、シャッターを押す時、カメラに収める時、常に心がけている、ぶれない軸とは何ですか?」というもの。

その回答は、「風景なのか、人物なのか、いろいろありますが、人物写真ということでお話しさせてもらいますね。私は、シャッターを押す時、いい写真を撮ろうとか、これによって有名になろうとか、ましてや名誉やお金がついてくるだとか、そういうことは考えません。写真を撮られる人が、最も自然体でいて、その人の本当の表情を撮り、そして、撮った写真で撮られた人が喜んでくれるような写真。そういう写真を撮ることだけを考えています」というものだった。

この言葉に、彼女のプロ魂を痛いほど感じた。僕らは、いい写真を撮ろうとか、きれいな写真を撮ろうとか、そんなことをつい考えてしまう。でも、彼女は、「撮られた本人が一番喜んでくれる写真」を撮ろうとするという。それだけは、これまでぶれたことのない軸だと。

井上さんの言葉も、多くの在学生・卒業生の心に響いたようだ。このイベントに参加した人たちは、いろいろな視点から、いろいろな感想を、いろいろな刺激を受けたに違いない。

写真という、普段から使っている「メディア」の表現の可能性を、テーマの多面性を、自分の足で現場を歩くことの意味を、人と関わると言うことの意味を、そして、自分も社会の構成員の一人であるということの意味を、私自身も考えさせられる3日間だった。

皆さんお疲れ様。そして、全くのボランティアで参加してくださった審査員の方々、金銭面で物品面でサポートしてくださった協賛企業さま、本当にありがとうございました!

**当日のFWの途中経過は、ツイッターのハッシュタグ「#PJT2013FW」を参照。**