2012年6月28日

手柄争い

2011年から続いているアラブでの政治変動。多岐にわたる媒体で、多岐にわたる論者が、多岐にわたる議論を展開している。どれも興味深い指摘であり、大いに学ぶことがあるのだが、気になることもある。


今回の政治変動では、「メディア」が1つの論点として注目されている。スマートフォンやソーシャルメディアなど、「今どき」のツールやサービスの果たした役割は、アラブの地域研究者以外にとっても気になるところに違いない。

他方で、インターネットの役割を過度に評価しすぎだという議論もある。今回の「政変劇」における主役級のメディアを挙げるとするならば、それはインターネットではなく衛星放送だろうという主張が典型的だ。

どれも正しいのだろうが、同時に、どれも不十分だと思う。不毛な「手柄争い」をしているようにも感じる。

研究者は、しばしば自分の研究対象の重要性を過度に強調するきらいがある。そうすることで、自身の研究の正当性を確認しているようなところもある。また、オリジナリティを出そうと、半ば意図的に「アンチ」のスタンスを打ち出すこともある。でも、そんなものは、本当の意味でのオリジナリティではない。

もちろん、これらは自分自身への戒めでもある。

何にしても、「手柄争い」的な議論は不必要だろう。2011年のアラブには、衛星放送もインターネットもすでにあったのだから、「どちらも」影響を与えているに決まっている。重要なのはバランス感覚と対象への切り口の鋭さをともなった議論であって、「どちらがスゴイか」を競ってもあまり生産的には思えないのである。