2012年3月5日

ミニマリズムに惹かれる若者たち

手元にあった雑誌『クーリエ・ジャポン』をパラパラとめくっていたら、欧州の「脱成長」の話とセットでミニマリズムを実践する若者たちの記事が目にとまった。

「『100品』だけで暮らす"ミニマリズム世代"の肖像」『クーリエ・ジャポン』(2012年4月号)、112-115頁。

記事で紹介されているヨーロッパの若者は、みなモノをほとんど所有していない。自転車以外の持ち物全てを2つの工具入れに収まるようにするのが目標と語っている22歳の大学生も紹介されていた。

「もし家が燃えそうになったら、あなたなら何を持ち出しますか?」という質問に対し、持ち物を写真で納めて紹介しているサイト(http://theburninghouse.com/)を取り上げていた関連記事も面白かった。写真は、このサイトに掲載されていた、27歳のオランダ在住Interior Architectの場合から。


この記事の分析によると、「今日の20代の若者は一定の場所に落ち着く傾向が低く、住宅ローンを組むこともなければ、長期雇用を目指したりもしない。稼いだお金で世界のほんのちっぽけな場所の所有権を獲得しようとするよりも、移動しやすい状況を作り、より広い世界を見ることにお金を使う傾向があるのだ」(114頁)ということらしい。

こうした価値観は、まだまだメインストリームになっているとは言えないが、こうしたライフスタイルに共感する人々は確実に増えているように感じる。実際に、自分の周りには、こうした価値観を実践しようとしている人は多いし、自分自身も「所有物を減らす」という取り組みはここ数年来段階的に実施してきた(今年はさらに一段と加速化させる予定である)。

気の合う友人が家に泊まりに来たときなどは、夜な夜な「大きなスーツケース1つに入るくらいに自分の荷物を減らしたいね」という話で盛り上がる。何かあってもパタパタと荷物を詰めてたたんで、サッと移動できる身軽さをいつでも整えておこうね、という話になる。

この話題とセットでよく語り合うのが、「働き方」というテーマだ。こちらもお酒やコーヒーを飲みつつ、「職業が1つである必要なんて全然ないよね」とか、「その時その時でいろいろな生活の糧の得方があっていいんじゃない」とか、「一つの都市や国や場所にとらわれることなく、どんな場所でも、どんな環境でも生きていける逞しさを身につけたいよね」なんて話になることが多い。

不透明な将来に対する備え方はいろいろだと思う。要塞のような「自分の城」を築いて、どんな嵐にもびくともしないような環境を整えるという方法もあるだろう。その場合、必然的に場所に縛られることになる。

他方、このミニマリズムの記事に紹介されているような価値観の延長線で生き延びようとする戦略もあり得るだろう。「重装備」をかためることなく、柔軟性と環境適応力を最大限に追求し、身軽に生きる「ノマド型」の適応戦略とでも言える方法だ。

どんな方法でもいいと思う。人には適正がある。無理をしたところで、長続きしないだろう。自分が心地よいと思うやり方を追求すれば良い。ただし、この先「悪天候」が待ち受けていることは間違いなさそうである。その覚悟だけはもって、できる準備を進めていくことにしたい。