2012年2月11日

イージーオイル時代の終焉:『ネイチャー』誌掲載の論評

石油ピーク論者が、かねてから主張してきた事柄をサポートするような論評が『ネイチャー』誌に掲載され話題となっている。

James Murray and David King, "Climate Policy: Oil's Tipping Point has Passed," Nature, Vol.481, 2012, pp.433-435.

この論評の指摘は、以下の図に集約されている。


MurrayとKingによると、2005年以前は、石油価格に対して原油の生産量は弾力性があったが、2005年を境に、弾力性を失いはじめているという。市場メカニズムが効きにくくなっているのであり、本来増えても良いはずの原油の生産量が伸びていないということだ。

つまり、イージーオイルの産出は、2005年の日産約7500万バレルがピークだったのではないかということを示唆している。2005年が「転換点」だったというわけである。

こうした指摘は、もう何年もの間、石油ピーク論者によって再三行われてきたものであり、特段新しいことはない。

ただし、『New York Times』紙は、この『ネイチャー』誌の論評を取りあげ、「2005年ピークオイル説と類似する議論は他の人びとによっても行われているが、世界でもっとも威厳のある科学雑誌である『ネイチャー』誌の紙面を飾ることは稀である」とコメントしている。

石油ピーク論については、もはやピークがあるかないかという議論はされていない。ピークはあるが、それは「いつか」という時期をめぐる議論が交わされている。もしかすると、この表現も適切ではないかもしれない。「交わされていた」と過去形にすべきなのだろう。国際エネルギー機関(IEA)を含め、主要な論者の見解に、大きな差異が見られなくなってきているためである。

今回の「2005年説」も、これまでの議論を追認するような格好となっている。イージーオイルの時代は終焉を迎えたのである。この先は、人類の未体験ゾーンである。人類史は、「右肩上がり」の経験は重ねていても、「右肩下がり」の「縮小局面」についてはよく知らない。

これからの未来は、過去からの類推では描けないということではないだろうか。こんな時代には、個々人の想像力と創造力がますます求められることになるだろう。