2011年8月22日

緑地の価値

クライストチャーチにやってきた。街の中心部は、地震の影響で入れない。一面、フェンスで囲まれている。なんとも、痛ましい姿だ。石造りの教会なども、(崩れ落ちないように)補強がしてあり、周りはフェンスで囲まれている。地震の爪痕は、街のいたるところに残っている。

それでも街は動いている。人々は生活をしている。旅をすると、決まって地元の人に人気のある(ないしはありそうな)カフェを訪れ、その街の空気を感じるようにしている。もちろん、その街に住んでいるわけではないので、「ここは!」と思って入ったカフェが「あんまり……」だったりすることもあるが、最近は嗅覚が鋭くなってきたのか極めて「当たり」が多い。今朝の朝食を食べたカフェも「当たり」だった。


「ガーデンシティ」の愛称もあるクライストチャーチには公園が多い。街に緑地が多いのである。その中でもひときわ大きく有名なのが「ハグレー公園」(Hagley Park)だ。宿が、この公園のすぐ脇にあることもあって、散歩はこの広大な公園の中。家族でゆっくりと、そして冬の澄んだ空気と穏やかな日差しを浴びながらの散歩は気持ちが良い。


これからの都市の魅力を決める指標の一つに「緑化度」というのがあるかもしれない。もっとも、石油減耗の影響をもろに受けるようになると、かつてのキューバのように街の空き地という空き地は畑に変換され、イヤでも緑化度は上がるかもしれない。でも、今すでに、ある程度の緑化度を誇る都市には、やはりそれなりの魅力があると思う。

これからは、エンターテイメントのあり方も大きく変化することになるだろう。端的には、お金とエネルギーをかけずに楽しめるエンターテイメントへのアクセスをどれほど持っているのかということになる。ディズニーランド的なエンターテイメントは、はやらなくなるし、ああいったエネルギー浪費型のものは維持することも困難になるだろう。

その点、街中の公園や緑地はすぐれた資産だ。散歩はタダだし、他の散歩をしている人とのコミュニケーションも楽しい。すぐそばに、海があってマリンスポーツを楽しめる、というのもいいだろう。その都市の立地と周囲の自然環境は、やはり重要だと思う。

街の規模も重要だろう。あまりにも大都市ではいけない。おそらく、東京のようなメガロポリスの時代はもう終わったのだ。やがて多くの人がそのことに自覚的になり、メガロポリスを離れる人の数は、今後ますます増え続けるに違いない。大都市には、そこでもやっていくことの出来る人と、脱出できずにとどまらざるを得なかった人という形で、二極化した人々が残ることになるのかもしれない。

いずれにせよ、今はやっている都市が次の時代も引き続きその魅力を維持し続けるには課題が多い。そういう都市もあるだろうが、それほど数は多くないだろう。むしろ、今は全く注目されていないが「次世代的にはオモシロイ」という都市が新たに興隆してくることになるのではあるまいか。そんなことをとりとめもなく考えつつ、豊かな公園の緑地を思いっきり満喫した午前中だった。