2011年7月27日

風力発電のポテンシャル

先日、もったいない学会のサロン(定例研究会)で風力発電に関する報告を聞いた。報告者は、林農先生(鳥取大学名誉教授)。長年、風力発電の研究と普及に尽力されてきた林先生ならではの、風力発電に関する愛情や熱意が垣間見られる報告だった。

これまでもったいない学会が主に参照してきた風力発電のEPR(Energy Profit Ratio:エネルギー利益率)は、天野治先生(元電力中央研究所)の試算であり、その結果は5以下程度と「文明を支える」にあたってはいささか心許ない数値であった(文明を支えるためには、最低でも10程度以上のEPRは欲しいところだ)。

今回の報告では、報告者の林先生が実際に関わったプロジェクトである鳥取県北栄町の「北上砂丘風力発電所」(1500kw×9基)という実際に稼働している風力発電をベースに試算されたものだ。

結果は、これまでの通説(理論上の計算値)よりもかなり高く、EPR=11.5(使用年数15年)、EPR=14.9(使用年数20年)、EPR=21.3(使用年数30年)というものであった。電力会社との契約の関係上、現状では15年というのが実稼働期間だそうだが、装置そのものは15年以上持つものと思われる。

稼働期間が長くなればなるほど、そして、出力が大きくなればなるほど、風力発電のEPRは向上するという結果が得られた。これをどのように活かすのかは、政策的な問題である。

かつて風力発電の問題の1つとされていた「騒音問題」は、歯車の音と風切り音によって生じていたが、現在では2つとも問題は解消されており、騒音は問題とはならなくなったという。

むしろ問題として引き続き残っているのは「低周波騒音」(騒音というよりは振動か?)であり、この人体への影響は、かなり個体差があることが知られている。

今回の東日本大震災でも、設備としての風力発電の機能障害はゼロであったが、(自らが風力で発電する電力ではなく)商用電源によってオペレーションが行われているため、従来の送電網が停電してしまったことで、風力発電の発電も止まってしまったという。このあたりは、今後の課題として検討されるべき問題だろう。

いずれにせよ実際に稼働している風力発電からのEPRが実際に計算され、その数値がこれまでの通説よりもかなり高いものであるということは特筆に値する。風力発電のポテンシャルを感じさせる。