2011年5月10日

国家の衰退と都市の復権か?




石油ピーク後の(石油減耗期の)国際社会は、どのような構造によって理解されることになるのだろうか。

何が現在の形のグローバル化を促進させてきたのかという点に関しては、様々な見解が示されている。根底には、情報通信技術の飛躍的進歩があると論じる学者もいる(アンソニー・ギデンズなど)。確かに、情報通信技術の飛躍的進歩無くしては、現在の国際社会の姿を形成することはできなかっただろう。

こうしたICTの視点と並んで、もう一つ根底に流れているものはエネルギーである。ニューヨークタイムズのコラムニストであるトーマス・フリードマンは、『フラット化する世界』において、グローバル化を3つの段階で捉えている。

第1段階は、コロンブスが「新大陸」にたどり着いた1492年から1800年頃までの期間だという。この時代に重要な技術は航海術であるが、主なエネルギー源は「風」であり、主役は「帆船」であった。

第2段階は、1800年頃から2000年頃までだと言うが、この時代になって主要なエネルギー源として「石炭」が採用されるようになった。そして、第2次世界大戦後には、世界中で「石油」がその地位に取って代わった。

相変わらず「海の技術」(シーパワー)は重要であったが、初期の頃は蒸気船が、その後、石油で動く現代型の船舶が主役となった。また、「空の技術」(エアーパワー)の重要度も増した。飛行機は、その初期段階から石油を燃料としてきた。

こうしたエネルギーに裏打ちされた技術は、グローバル化を促進させたが、石油減耗期にはその姿を変える可能性がある。むしろ、変わらざるを得なくなるだろう。

過去数百年間にわたって、国際社会の主役を務めてきた近代国民国家が主役の座を降りなくてはならない事態も現実味を帯びてきた。その後の国際社会での主要アクターは、「都市」ないしは「地域コミュニティ」になる可能性が高いと考えている。

都市は、化石燃料時代が始まる遙か前から形成されてきた。近代国民国家は、エネルギー論的には化石燃料の申し子でもある。都市の方が、明らかに存続のための「地力」を持っている。歴史を耐え抜いてきた実績もある。

そうなると、国家の衰退と都市の復権は、次の時代のトレンドになるのではないだろうか。そんな予感を持っている。その時の国際社会の構造上の特徴は「極」によるシステムではなく、「ネットワーク型」のシステムになるのではないだろうか。


そんなことを考えつつ荒削りな試論を提示したコラムが公開されました。

国家の衰退と都市の復権か?」(ShiftM、2011年5月4日)


いずれにせよ、「新しいプログラミング」は不可避なのではないか、と考えています。